この記事の目次
1級・2級小型船舶試験前でドキドキしているみなさんへ
学科試験の勉強に実技試験のイメトレにと、合格率が高い試験にしては小型船舶免許ってやることがたくさんありますよね。
「勉強が終わっていない!」「イメトレを家でやるには限度がある!」と焦りながらも、本番の試験の流れや様子を知っておきたいと思っている頑張り屋のみなさん。
大丈夫です!実際に一級小型船舶免許を取得した私がご紹介しますのでご安心ください。
単純な流れだけではなく、できるだけその場の雰囲気が伝わるように細かくお話ししますので、これで本番のイメトレはバッチリです。
当日の流れ簡単まとめ
- 身体検査
- 学科試験(2級・1級)
- 実技試験
試験会場のニューポート江戸川
全国いろいろなところに会場はありますが、私が試験を受けたのはニューポート江戸川というところで、浦安駅から徒歩約10分の距離にあります。
まっすぐに伸びた長い道を歩いていくと次第に上り坂のようになってきて、江戸川から見て自分が歩道橋くらいの高さを歩いているのが分かります。
階段を下りて江戸川沿いに歩いていくと突き当りにニューポート江戸川が見えてきます。
身体検査
8時45分集合だったのでその時間を目安にニューポート江戸川につくと、ちゃんと分かりやすいように試験を受ける人たちに向けて案内板(紙?)が設置されていました。案内に従って2階に向かうと階段を上がったその真ん前に机があり、二人の身体検査担当の人が座っていました。
階段の横に担当の人がいて、そこで受験票を見せて確認してもらいます。そのまま流れで、よく眼科で行うイメージの穴がどちらに開いているかの検査と、色を見て何色か分かるかの検査を行いました。聴力検査もしたかもしれませんが、あまり記憶にありません。ここはサーっと終わって、その場で「合格です」と言われ教室を案内されます。
学科試験
教室に入ると机に受験番号の紙が置いてあるので、自分の番号の席に座ります。ニューポート江戸川では小さめの教室が2つ並んでおり、隣の教室で試験を受けた人たちは最初に実技試験を行っていたようでした。隣は比較的若い方が多かったです。
時間になると試験官の方が当日の流れや学科の説明をしてくれます。とてもハキハキとした若い女性の方で、後ほど行う実技試験も担当していたようでした。この説明時に自分が先に学科を受けるのか実技を受けるのか、2人で試験艇に乗るのか3人で乗るのか、時間などが分かります。私の時は、前に座っている人と2人での実技試験した。
座る列によって1級2級が分けられているようで、私が座った列の人には海図が配られていました。2級の問題冊子と、1級の人は1級の問題冊子、海図も配布され、2級の人は何時まで、1級の人は何時までと指示された時間内に終わらせられるように試験を受けます。
私はとりあえず2級から始めました。範囲が広くて知識を忘れていそうだったので、少しでも記憶が残っているうちに片づけてしまおうと思いました。逆に1級の海図は時間を取られることが分かっていたので、後回しにします。最初に時間を取られると後々の時間の少なさに焦らされて精神的にやられると思ったからです。(笑) 海図は問題数が少ないくせに、かなり時間取ってきますよね!
家で問題集を解いてる時は記憶に残ってる単語を見て、あまり文の意味を考えずとも反射的に答えを出していましたが、やはり試験ではそんなことこわくてできませんでした。じっくり他の設問もチェックして、適切でないものを聞いてるのか適切なものを聞いてるのかもちゃんと確認して…。
初見問題もありましたが、個人的な感覚では1問しか違和感を感じませんでした。その問題には頭を悩まされました。
そして次は1級の問題です。機関系が苦手だったので難しい問題が出ないことを祈りつつ臨みましたが、比較的易しい問題が多かったので安心しました。そして海図は、いつも以上にちゃんと角度が合ってるか精度に気をつけましたが答えの選択肢から3°ずれてしまったものもあり、本当にこの選択肢で合っているのか…?と心がざわざわしていました。
一応解き終わった後にもう一度三角定規をあててみたり、ディバイダーをあててみたりしましたが、なぜかずれを発見することができず結局そのまま答えをマークしました。
他の問題も一通り最後に確認しましたが、1時間半くらいで終わったと思います。1級規定の2時間20分はけっこう余裕があるのではないでしょうか。
一般的には三角定規2種類( 90°、45°、45°と90°、60°、30°のペア)を持っていくと思うのですが、私が祖父に借りた定規は両方とも後者の縦長のものでした。縦長の三角定規2つで不正になってしまったらどうしようかと心配してネットに情報がないか血眼になって探したのですが、私のようにイレギュラーな三角定規の使い方をする人はいないのか、そのことについて書いてあるサイトはありませんでした。結局、試験中特に何も注意されることはなかったので大丈夫でしたが、もし私と同じようにイレギュラーな方がいたら、持って行っても構わないのではないかと思います。(会場によって違ったらごめんなさい。)
休憩時間
教室の外にラウンジのような待機スペースがあるのですが、試験後はそこに貼ってある自己採点用の正答を写真に撮ってからお昼ご飯を買いに行きました。コンビニは往復20分と遠く、帰ってくるだけで汗だくに・・・。休憩中に勉強したい人は、お昼ご飯を事前に買っておくことを強くおすすめします。
待機スペースは隣の教室と教室前のラウンジ2つを指定されていましたが、なぜかみんなラウンジで休憩していました。席もなかったし広いほうが良かったので隣の教室に入りましたが、どうやらそこは隣の教室の人たちが実技試験に呼ばれるまでの待機場所兼、午後の学科の勉強をする空間となっており、私が入ると「俺たちの教室こんな人いたっけ?」とばかりに注目を集めてしまいました。実技が一緒のグループで仲良くなったのか、学科の教本を開きながらおしゃべりしている若者たちがいました。
食事後は席が空いていたので、空気を読んでラウンジに避難。実技のイメトレとロープの結び方の確認をして1時間過ごしました。最後の方はイメトレに疲れてしまったので、先ほど受けた学科の自己採点をしましたが1級2級ともに満点でした。難しい機関の問題が出なくて本当によかったと思います。
1時近くなり、試験官の方が私のもとへ・・・。3艇ある試験艇のうち1艇が壊れてしまって、実技試験のスケジュールが変わると教えてくれました。試験艇が壊れるというトラブルもあるんだな〜と思いつつ、時間が延びたので教室に戻り(その頃にはその教室の人たちは学科試験で移動してたので完全なる待機場所になってました 。)再度イメトレとロープワークの確認をしていました。
でももう正直、家でイメトレもロープワークも練習したし、声も出さず頭の中でぐるぐるイメトレし続けてるのも頭がおかしくなりそうだったので後半はスマホで漫画を読んでいました。(笑)
待ち時間はかなり長いので、絶対に復習できるものや暇つぶしになるものは持っていたほうがいいと思います。
実技試験
14時ごろになり実技の時間が近づくと、待機場所の教室から外のテラスに移動しておくようにと声がかかりました。荷物を全部持って、裏口から外へ向かいます。外のテラスなんてどこだか分からなかったのですが、分からないのはみんな同じなので、先陣を切って歩き出しました。
裏口から外に出ると左側に喫煙所がありました。タバコを吸っているおにいちゃんと目が合い会釈しつつ、喫煙所を通るとそこは駐車場でした。
あれ?テラスってどこ?笑
来た道を振り返ると、教室から一緒に降りてきたであろう男性2人がこちらを何度か振り返りながら、私と反対の道へ向かっています。
2人は流れで同じテーブルに座り、ちょっとした(本当にちょっとした)会話をしてすぐに黙ってしまいました。
私は少し気まずさを感じながら、テーブルもたくさんあったので、隣のテーブルに座って時間が過ぎるのを待ちました。
後から来た男性1人も男性2人のテーブルに座って挨拶をしだしたので「完全に孤立してしまった」と内心思いましたが、最初以外全く会話をしていなかったので、緊張していたのか、もしかしたら気を遣ってくれていたのかもしれません。
最初に私のグループではないほうの船が呼ばれたので、残された私と隣のテーブルの男性は挨拶をして会話をすることになりました。良い方で緊張がほぐれました。(待ちすぎて実は緊張していませんでしたが笑)
実技講習は1日だけだったので操船は不安でしたが、陸でできるイメトレやロープワークの練習は何度も行っていたので、試験艇に乗ってからの自分に任せようと思っていました。
若いメガネの男性試験官の船に呼ばれ、船に乗りました。そこで衝撃の事実に気がつきました。
波が高すぎるのです。
もちろん試験が行えるくらいの波ではあるはずなんですが、私が実技講習で練習をしたときより遥かに波が高く、川の水が盛り上がって流れていくうねりがよく見えます。
しかも試験艇に乗って座席で待っている間も船がぐわんぐわん揺れて、遊園地のアトラクションかと思うくらいでした。
酔ってしまうんじゃないかと同じグループの男性と話していましたが、「これは酔いますよ。実技講習の時も終わってからずっと地面揺れてましたもん(笑)」「私もバスタブが船みたいになってました」と試験艇の中で爆笑していました。酔いが消えました。
そして発進から始まり、直進や停止、後進、避航、人命救助、蛇行…着岸離岸、コンパス測定、解らん係留、点検、トラブルシューティング…
2つか3つの項目ごとに受験者同士で交代しつつ、だいたいこのような順番で試験が進みました。
私のイメージでは点検とトラブルシューティングは最初に行うのではないかと思っていたので、初めに試験官の操縦で川の真ん中に出たときは少し驚きました。
他の人のように操船(舵のハンドル使い)も下手で感覚をあまり掴みきれていなかったので、船首を振らずにまっすぐきれいに走ることも難しく、波に流されて方向を保つのもさらに大変でした。
なんとなく試験官に舵を取られてしまうと、もうこの項目は失格なのかなと思ってしまうのですが、かなり口を出されたり舵を取られた印象が残りました。
近くに船がいるからやりやすい場所に移動させてくれてるのなら良いのですが、試験官が
「ハンドル預かりますね〜」
と言ってきたり、離岸のときも
「(波で流されて?)前の船にぶつかりそうだから早めに離岸してください」
と言われたり
「後進の回転数もっと下げましょう」
などといろいろ指示をされて、これはもう失格だから言われているのか、採点対象ではないのか、よく判断できませんでした。
人命救助も、講習では早めに中立にして毎回救助成功できていたのに、波が高いせいでギアを入れないと近くまで行けず、風向きもコロコロ変わる状況で2回とも失敗してしまいました。
1回目は波に翻弄され救命するブイの周りを回ってしまい行ったり来たりし時間切れになり、2回目はやっとブイが流れてきそうな位置に船を持って行けたと思い、焦ってギアをかけたまま救助に行ってしまい失格でした。
そもそも波が高くなければ早めに中立にしていたのに・・・と思わずにはいられませんが、毎日変わる自然環境に対応することこそが操船に必要なものなのだと学ばされました。それを実技講習1日の経験を経て、試験で応用するのは到底難しいことだと思いますが・・・。(泣)
試験のわりと早い段階で失格項目をつくってしまって、テンションダダ下がりの状態で船に乗っていました。
ただでさえ操船が思うようにできず、蛇行の後もブイの直線上に走ることができないので、試験前の段階から、合格するとしても総合でギリギリの合格ラインだと思っていました。
なので、一度失敗してしまったこの状況で着岸離岸でも失敗してしまったら落ちてしまうのではないかという危機感がありました。
着岸する前にフェンダーを下ろすのですが、教わっていたようにやったつもりが
「ちゃんと下ろしてください」
と言われ混乱し、「水に浸からない程度まで下ろすと習ったんですが…」
と話したら、なぜか試験官が「あー・・・」と言ってやってくれました。今思うと船尾側のフェンダーは下ろしましたが、船首側のフェンダーの紐を見落とし、下ろし忘れていたかもしれません。
先ほどは人命救助を失敗に導いた波でしたが、着岸にいたっては波に助けられて、ハンドルを回した力ではなく波に押されて着岸できたような感じがします。
左舷着岸がやりやすいと聞いていたので、もう失敗できないと思った私は左舷着岸を選択しました (右舷か左舷かは選ばせてくれました)。
同じグループの男性はちょうど桟橋の係留場所が空いていなかったため、岸壁に着岸し、係留はせず船を寄せるようにと言われていました。
岸壁なんて練習でしていなかったので新鮮さに驚きました。男性は動揺してしまったのか失敗してしまい、ぶつかる寸前で試験官にハンドルを取られていました。帰りにその方と一緒に帰ってきたのですが、やはり岸壁に着岸するとは思ってなかったようで、「まさか岸壁に(笑)」とお互い爆笑してしまいました。
船を止めた後は、法定備品の点検を行いました。バケツのチェックをするように指示されたのでバケツが入っている袋をまず探しました。というのも、講習でバケツは「袋から出して確認する」と教えられたのを念入りにイメトレして覚えてしまっていたので、バケツは例外なく袋に入っているものだと思い込んでしまっていたからです。
袋は発見できたのですが中に黒いものが入っているのを見て、バケツは赤いはずなのにおかしいと思い、ほかの袋を探していました。試験官が「消防用バケツですよ〜」と声をかけてきたのですが、「あれ?赤いやつですよね…」とずっと袋を探していました。「その左手に持ってるのは何ですか?」と大ヒントを与えられ、私が左手に持っている赤い物体がバケツだと判明しました。まるでメガネをかけているのに探しているおばあさんのような状況でとても恥ずかしくなり、ダダ下がりだったテンションがどん底まで低くなったのを覚えています。
試験のまとめ
試験はこのような順序で進みましたが、学科試験と実技試験を逆に行うパターンもあるようです。
- 身体検査
- 学科試験
- 実技試験
コンビニが会場から遠い可能性があるので、事前にお昼ご飯は買っていきましょう。また、待ち時間は発生しやすいと思うので時間を有効に使えるものも持って行くといいでしょう♪
合格して船に乗ろう!
2級の人も1級の人も、みなさん試験頑張ってください!
緊張すると思いますが、実技試験で何か失格項目があっても意外と大丈夫なものです。
気持ちを切り替えて次の項目に臨めるように、ミスがあってもおちついてくださいね。
これから試験を目指す方は、学科で満点を取った私の勉強法も記事にしていますので、よかったらご覧ください。
ではみなさんご一緒に。
船乗りに、なるぞー!!